OBServe事例)SRE/オブザーバビリティよろず相談:わたしたちのシステムの機能はすべて重要なので、すべてがSLIということになりますがよいでしょうか?
SREやオブザーバビリティについて、X-Tech5に寄せられたご相談事例を紹介します。
目次
相談者
- 事業会社の情報システム部門のマネージャさん
- システム可視化・自動化・パフォーマンス対策・プロアクティブな対応に非常に強い興味がある
ご相談内容
SLIを見定め、SLOを設定し改善に取り組むという流れは理解しました(SLI:Service Level Indicator=サービスレベル指標、SLO:Service Level Objectives=サービスレベル目標)。
またSLIを定めるにあたり、ユーザ行動(User Journey)をもとにCUJ(Critical User Journey)を見定めて、ユーザ体験において重要な箇所がポイントだということも理解しました。
このシステムは業務システムであり、業務で利用する機能を開発し提供しています。業務は重要ですから、つまりすべての機能が重要です。となるとこのシステムのSLIはすべての機能・すべてのエンドポイントを対象に計測するということでしょうか?
ご回答
将来のことはさておき現在のことを考えると、いまはSLI/SLOに習熟していく段階ですから、まずはごく少数のSLIから始めるのがよいです。
CUJについて考えるとき、ユーザ視点の”ユーザ行動”ではなく”システム視点”や”ユースケース”を軸に考えてしまうのは定番の勘違いです。決め手にかける・検討材料不足を感じるようであれば、SLI/SLOを考える前にまずは情報収集するのがよいです。システムの目的は要件定義で、業務的な利用実態はユーザインタビューや業務マニュアルで、システム的な利用実態はオブザーバビリティツールを導入して情報を集めましょう。
改めてSLI/SLOについて考えると、わたしたち人類が、あるいは組織が同時に追求できる目標(Objectives)は非常に少数です。
たとえば事業遂行のうえでは「ひと」「もの」「かね」がいずれも重要で欠かせないものです。もちろん「ひと」がいないと事業ができないけれど「かね」がないと「ひと」も「もの」もどうにもならないし、「かね」も手元資金や目先の業績はもちろん大事だけど持続性も大事です。それでも事業目標は「ぜんぶ大事なのは前提として、いまは”これ”を”このくらい”」としますよね。
意思決定は心理的にも社会的にも難しいものですが、SLIやSLOは”情報から決まる”ものではなく“情報をもとに決める”ものですから、決めなければならないときが来たのであれば、決めましょう。
忘れないでほしいのは、SLI/SLOは仮説検証であり正解はなく、妥当性の評価軸は流動的ということですから、恐れず仮説検証していきましょう。
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