OBServe事例)SRE/オブザーバビリティよろず相談:業務システムにSLI/SLOと言われてもピンとこない。業務システムは身内しか使わないのでユーザ体験という軸は不適切では?
SREやオブザーバビリティについて、X-Tech5に寄せられたご相談事例を紹介します。
目次
相談者
- 事業会社の情報システム部門のマネージャさん
- システム可視化・自動化・パフォーマンス対策・プロアクティブな対応に非常に強い興味がある
ご相談内容
SLIを見定め、SLOを設定し改善に取り組むという流れは理解しました(SLI:Service Level Indicator=サービスレベル指標、SLO:Service Level Objectives=サービスレベル目標)。
またSLIを定めるにあたり、ユーザ行動(User Journey)をもとにCUJ(Critical User Journey)を見定めて、ユーザ体験において重要な箇所がポイントだということも理解しました。
しかしこのシステムは業務システムなので、利用者は自社の従業員であり、このシステムを業務として利用します。
利用者には選択肢がないので市場競争がなく選択肢もありません。
このようなシステムではCUJをもとにSLIやSLOを検討するのは不適切ではないでしょうか?
ご回答
結論から申し上げますと、CUJをもとにSLIを検討するのが良いです。従業員がユーザです。
長年お勤めですとあまり実感がないかもしれませんが、実際のところ市場競争も選択肢もあります。
業務システムの利用効率や利用誤りの少なさは事業効率を支えているもので、事業効率が低ければ他社との競争のうえで不利です。
また業務システムは従業員の日常を支えるものですから、利便性が低く不満がたまるようですと退職の要因になります。もちろんこれ”だけ”で退職に直結することはそうそうありませんが、不満が改善されない事例が積み重なることは会社に対するロイヤルティと信頼をじわじわ削ります。
退職にならずとも、想定した業務フローから外れたり、何らかの代替手段を利用したりと抜け穴的利用が常態化します。例えば勤怠システムのレスポンスが遅くログインが面倒なので毎日やらなければいけない入力やチェックをためこんで一気に行うようにしたり、集計システムの表示が見づらいので別のシステムやスプレッドシートにも同じ値を入力してそちらを使うようにするなどがあります。いわゆる”Shadow IT”(シャドウアイティ)も既存業務システムの不便さや時代遅れ(=競合劣位)に耐えかねて発生します。
業務システムの目的はコンピュータテクノロジの力で事業業績を実現し拡大することです。可視化されていないため実感がないのだと思いますが、従業員の行動を律速させる状況では業務システムが事業業績のボトルネックになっています。従業員数が多ければ多いほどこのボトルネックは見えづらく、しかし影響は大きくなりがちです。
ぜひ計測・可視化し改善して、従業員の業務パフォーマンス向上を狙いましょう。
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