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Blog X-Tech5エンジニアがお送りするテックブログ
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Observability Conference Tokyo 2025 参加レポート

2025年11月13日 

こんにちは。SREの菊池宣明です。

先日開催されたObservability Conference Tokyo 2025に参加しました。オブザーバビリティを専門としている立場から、他社の実践事例や知見を学び、業務に活かすことを目的に参加しました。

Observability Conference Tokyo 2025とは

イベントの概要は公式ページから引用します。

公式サイト: https://o11ycon.jp

Observability Conference Tokyo 2025は、オブザーバビリティに関心がある人 — SRE、プラットフォームエンジニア、インフラエンジニア、アプリケーションエンジニア、フロントエンドエンジニア、運用管理者、オンコール担当、CTO、CIOなどのサービス運営に携わる全ての役割の人たちが集まり、知見を共有しあうカンファレンスです。長く実践している方はもちろん、関心があるがまだ始められていない方も、いままさに取り組み始めたばかりの方も歓迎します。

個人的に最も印象的だったセッション

個人的に最も印象に残ったのは、LINEヤフー株式会社のToshiya Katoさんによる「オブザーバビリティが育む開発者のシステム理解と好奇心」というセッションでした。

このセッションでは、「ツールは整備されているのに誰も使わない」「メトリクスやログはあるのに議論が深まらない」といった現場でよく聞かれる課題に対し、「理解と好奇心を育てる」という新しい視点でオブザーバビリティを語っていた点が非常に印象的でした。単なる障害対応や運用効率化のためのツールとしてだけでなく、システム理解と好奇心を醸成する文化をどのように育てるかという実践的な内容でした。

特に共感したのは、SREと開発者の間にある“メンタルモデルの違い”という観点です。SREは主にダッシュボードやテレメトリーデータを中心にシステム全体を把握しますが、開発者はコードやドキュメントを通じてシステムの理解を構築します。この根本的な視点の違いが双方の間に認識のギャップを生み、オブザーバビリティツールの活用度の差にもつながっていると指摘されていました。

このギャップを埋めるために、開発サイクル側にオブザーバビリティの文化を自然に組み入れる取り組みは、チーム間の壁を超える実践的かつ効果的なアプローチだと感じました。私自身の過去経験からも、開発者にオブザーバビリティのプラクティスを単に押し付けても、文化として根付かせるのは容易ではないことを痛感しています。発表でもありましたが重要なのは、開発者が興味を持ちストレスなく活用できる環境を整備することです。そのためには、SREが開発者と伴走しながら開発サイクル全体を理解し、観測をチームの日常的な行動に溶け込ませることが鍵だと改めて認識しました。

このセッションを通じて、障害が少なく安定稼働しているシステムであっても開発者が好奇心を持ち続けて観測を行える環境づくりこそが、長期的なチームやプロダクトの成長に不可欠だと感じました。

全体を通しての感想

オブザーバビリティに特化したこのようなイベントが開催されたことは嬉しく、刺激的な機会となりました。セッションで得られた学びに加えて、同じ志を持つ参加者の方々と交流できたこと、また元同僚ともオブザーバビリティについて意見交換できたことは大きな収穫でした。来年もぜひ開催されることを期待しています。次回は登壇者として参加できるよう、今回のカンファレンスで学んだことを一つでも多く実務に取り入れていきたいと考えています。